スーパースポーツに乗るなら、一度は「軽いヘルメットこそ正義」という呪いに取り憑かれる。
首の負担から解放されたい──その思いだけで、私はWINSの最上位モデル A-FORCE RR(ドライカーボン) を購入した。
しかし、このヘルメットは“使いこなしてこそ真価を発揮するタイプ”だ。
軽さは革命的だが、サイズの選択を誤ると走行そのものが危うくなる。
この記事では、実際にSSで使用してわかった 致命的な弱点 と、
そこからどうやって 理想のフィット感を取り戻したのか を、余すことなく解説する。
※これからヘルメットを選ぶ人へ
「何を基準に選べばいいのか分からない」という方は、
種類・安全規格をまとめた専用ガイドも用意しています。
→失敗しないバイクヘルメットの選び方|種類・サイズ・安全規格を徹底解説
目次
開封レビュー|職人のこだわりが宿る「軽さの塊」


細部の作り込みが異常に細かい

箱を開けてまず驚いたのは、あご紐に採用されているチタン製Dリング。
一般的なヘルメットではステンレスが多い部分だが、あえて高価な素材を使う理由はただひとつ。
このパーツひとつで開発陣の本気度が伝わってくる。
カーボンシェルの質感は期待以上



ドライカーボンの織り目は整っており、表面のクリア層も厚めで高級感がある。
シールドの開閉もカチッと決まり、安っぽさを一切感じさせない。
「軽さだけの激安品」というイメージは、触れた瞬間に消し飛んだ。
ライダー同士のやり取り:軽さの衝撃
メリット|“暴力的な軽さ”は正義そのもの
動き始めてすぐに違いが出る
このヘルメット最大の武器、それは**暴力的なまでの「軽さ」です。
数値上の軽さはもちろんですが、真価を発揮するのはヘルメットを被って走り出した瞬間です。首を左右に振ったときの慣性モーメントが極端に小さいため、まるで帽子を被っているかのような錯覚に陥ります。
SSライダーには特にオススメ
スーパースポーツに乗る方には恩恵が計り知れません。前傾姿勢を維持する時間が長いSSでは、ヘルメットの重量が疲労に直結するからです。
- 首のスタミナ温存: 前傾姿勢で首を持ち上げ続ける辛さが半減します
- Gへの対抗: 加減速時のGで頭が振られにくくなります。
- 集中力の持続: 首や肩の疲労が減ることで、ライディングに集中できます
高速域での安定性
軽量でありながら、高速域でのブレや煽られも少なく、空力性能も優れています。100km/h以上での安定性も良好で、不安を感じることはありませんでした。
しかし、問題はここからです。
ライダー同士の会話:まさかの落とし穴
デメリット:まさかの落とし穴と「視界が消える事件」
ここが今回のレビューで最もお伝えしたいポイントです。 WINS A-FORCE RRは、サイズ選びが非常にシビアです。
いつものXLを購入 → まさかのフィット不良
Shoei、OGK、KABUTO…どのメーカーでもXLを使ってきた。
今回も迷いなくXLを買ったが、これが最大の罠だった。
かぶった瞬間に「ん?」となる。
- 首元は締まる
- なのに中はゆるい
- 頭を振ると本体が動く
違和感はあったが「まあ走ってみるか」でSSにまたがった。
そして伏せた瞬間、地獄が始まった
前傾姿勢で風が当たった瞬間、ヘルメットが ズルッ…と前に落下。
シールドの上端が視界を塞ぎ、前がまったく見えない。
視界確保のために首を反らす → 軽量なのに首が痛い → 集中力低下。
はっきり言って 危険レベル のズレ方だ。
なぜこんなことが起きるのか?
WINSの特徴は以下。
- 内装の厚みが全体的に薄い
- シェルがやや大きめ
- 横幅は広め、頭頂のホールドは弱め
“軽さ”が仇となり、フィットが甘いと風圧で簡単に動いてしまうのだ。
メーカー(WINS)に問い合わせた結果
購入店を通じて問い合わせたところ、以下の回答がありました。
| お問い合わせいただきましたあご紐の位置について、画像を拝見し、弊社の担当よりご回答させていただきます。 画像を拝見した限りでは、あご紐の位置は特に問題なく正常な位置であると思われます。 しかし、フィッティング調整を受けていただいていない場合、ヘルメットのかぶり位置自体がずれている可能性がございます。 もしヘルメットのサイズに余裕があるようでしたら、別売のサイズ調整パッドセットをご使用いただく方法があります。 前頭パッド(または後頭部パッド)を使い、ヘルメットの前後のかぶり位置を微調整することで、あご紐の位置が改善される可能性がございます。 最も確実なのは、専門のスタッフによる直接のフィッティング調整を受けていただくことです。 お時間が許すようでしたら、弊社スタッフが全国を回るイベントにて調整を承っておりますので、ぜひご活用ください。 |
との回答が返ってきました
WINS担当者様からの回答(要約)
- あご紐の位置は画像を見る限り正常です。
- ただし、かぶり位置自体がずれている可能性があります。
- サイズに余裕がある場合は、別売りの調整パッドで前後位置を微調整してください。
- 最も確実なのは、イベント等で弊社スタッフによるフィッティング調整を受けていただくことです。
やはり、フィッティング(隙間埋め)が鍵のようです。
対策方法
ブカブカ地獄からの脱出
せっかく買った高級カーボンヘルメットを無駄にはできません。フィット感を改善するために試行錯誤した結果をお伝えします。
最も効果が高かった対策:頭頂部パッドの追加
頭頂部(トップ)にライナーやパッドを追加すると劇的に改善する。
私は「エアーヘッド系のライナー」を導入したところ、
かぶり位置が上に持ち上がり、伏せてもズレなくなった。
- 視界が戻る
- 走行中に位置が安定する
- 首への負担が激減
これで問題はほぼ解決した。
ただし、ジレンマもある
軽量化のために開発されたヘルメットに、
“重さを追加する”という矛盾。
数十グラムでも、チタンを採用した開発意図を考えると心に刺さる。
だが安全・快適が最優先だ。
★ 効果が薄かった対策:チークパッドのサイズ変更
他メーカーで通用する「チークパッドだけのサイズ落とし」は、
WINSではほぼ無意味。
入口が狭くなるだけで、内部ホールドが改善されない。
WINSの商品は人気のためか、パーツも含めて納期が非常にかかる傾向があります。早めの手配をおすすめします。
A-FORCE RRを買う前に絶対やるべきチェックリスト
もしあなたがA-FORCE RRの購入を検討しているなら、以下の手順を強く推奨します。私と同じ轍を踏まないでください。
ベストな解決策
もしあなたがA-FORCE RRの購入を検討しているなら、以下の手順を強く推奨します。私と同じ轍を踏まないでください。
サイズは「ワンサイズ下」を疑え:普段XLならLを!ただLからMにする場合は筐体自体のサイズが変わるので注意が必要です
実店舗での試着は必須:通販でいきなり買うのはギャンブルです。
- 実店舗で試着する
- 複数サイズを試す
- 実際にバイクに跨った姿勢で確認する
- 前傾姿勢を取って視界を確認する
- 頭を激しく振ってもズレないか確認する
これらを徹底すれば、私のような失敗は避けられます。
総合評価とオススメ度
総合評価:★★★★☆(4/5)
良い点
- ✅ 圧倒的な軽量性(首の疲労が激減)
- ✅ 高速域での安定性
- ✅ 高級感のあるカーボン質感
- ✅ チタン製Dリングなど細部のこだわり
悪い点
- ❌ 内装のフィット感が甘い(サイズ選びが難しい)
- ❌ SSの前傾姿勢だとズレやすい
- ❌ 他社よりサイズ感が大きめ
購入前のチェックリスト
A-FORCE RRの購入を検討している方は、以下を必ず確認してください。
- 実店舗で試着した
- 通常より1サイズ小さめを試した
- バイクに跨った姿勢で確認した
- 前傾姿勢での視界を確認した
- 30分程度被り続けて確認した
- 頭を振ってずれないか確認した
- 頭頂部のクッション位置を調整した
これらをクリアできれば、最高の相棒になるはずです。
まとめ|軽さは正義。ただし“適切なフィット”が絶対条件
A-FORCE RRは、SSライダーにとって特別な武器になる。
軽さによる疲労軽減効果は、正直ほかのヘルメットとは別次元。
ただし、サイズ選びを誤ると本来の性能を全て失う。
「いつものサイズで大丈夫」
──この油断が、あなたの視界を奪う。
フィッティングさえ完璧に仕上げれば、
A-FORCE RRはあなたのライディングを一段上の快適さへ引き上げてくれる。