以前、バイク通勤中の事故について書いた記事で少し触れましたが、事故のとき自分の体は場所によってはっきり明暗が分かれました。
プロテクターが入っていた肩・肘・背中・胸はほぼ無傷。
逆に、プロテクターの対象外だった首・腰・ふくらはぎは強い痛みが残りました。
その差の詳しい経緯や、装備で防げる怪我と防げない怪我の整理については、別記事(「バイク事故で分かったプロテクターの効果|肩肘背中は無傷だった」)でじっくり書いているので、気になる人はそちらを先に読んでみてください。
この差を経験してから、ジャケットやパンツを選ぶときに「そもそもどこにプロテクターが入っているのか」を意識するようになりました。
そして調べていくと、バイクジャケットの標準プロテクターはメーカーによって思っていた以上にバラバラだということに気づきました。
「プロテクター付きジャケット」と一口に言っても、どこが標準装備で、どこが自分で買い足す前提なのか、実はメーカーごとにかなり差があります。今日はそのあたりを整理しておきます。
なぜ「標準装備」を確認すべきなのか

ジャケットやパンツを買うとき、多くの人は「プロテクター付き」という表記だけを見て安心してしまいがちです。自分も昔はそうでした。
でも「プロテクター付き」の中身は製品によって全然違います。
胸・背中・肘・肩まで一通り揃っているものもあれば、肩と肘だけで背中は別売りというものもあります。
パンツも同様で、膝は入っていても腰や尻回りは無防備、というケースは珍しくありません。
事故は体のどこに衝撃が入るか選んでくれません。
だからこそ、「このジャケットにはどこが入っていて、どこが入っていないのか」を自分で把握しておくことが、結果的に一番の防御になると思っています。
メーカーごとの標準装備の違い
自分が見てきた範囲での傾向をまとめると、大きく3パターンに分かれます。
コミネ:ジャケット・パンツともに手厚め
コミネのジャケットは、胸・背中・肘・肩にプロテクターが標準で入っているモデルが多い印象です。
パンツも膝は標準装備で、モデルによっては臀部にクッションが入っているものもあります。
「とりあえず一式揃える前提で選びたい」という人にとっては、標準装備の範囲が広いのはシンプルに安心材料になります。
他メーカーに多いパターン:肩・肘・背中とパンツの膝が標準
コミネ以外の多くのメーカーでは、ジャケットは肩・肘・背中が標準装備というパターンが多いです。
パンツについても、膝が標準というのは共通している傾向があります。
このパターンの場合、胸部プロテクターは別売り・後付けというケースが多いです。
「ジャケットにプロテクターが入っているから大丈夫」と思っていても、実は胸は無防備というのはよくある話なので、ここは意識して確認したいポイントです。
パンツについて補足すると、膝は標準装備がほぼ共通している一方、腰はモデルによってプロテクターが入っているものと入っていないものに分かれます。
また、メーカーによっては「ソフトプロテクター」という薄手のパッドが入っているだけのモデルもあります。
正直、触った感触だけだと「これ本当に機能するの?」と疑いたくなるレベルのものも存在します。
この手のソフトプロテクターの実力や、しっかりしたプロテクターへの入れ替え方については、D3Oプロテクターの記事で詳しく書いているので、気になる人はそちらも読んでみてください。
中には「プロテクターは自分で全部揃えてね」というメーカーも
一部のメーカーでは、ジャケット自体にはプロテクターのポケット(収納スペース)だけが用意されていて、プロテクター本体は全て自分で購入して装着する前提になっているものもあります。
こういうジャケットはデザインや価格面でのメリットがある一方、「買ったらすぐ守られる」わけではないので要注意です。
買った直後にプロテクターなしで乗ってしまう、という一番危ないパターンにハマりやすいのもこのタイプです。
CE1とCE2、規格の違いも見ておく
「どこにプロテクターが入っているか」と同じくらい大事なのが、そのプロテクター自体の性能です。バイク用プロテクターには、欧州のCE規格(EN規格)によるレベル分けがあります。

CE規格のテストでは、約2.5kgの重りを約2mの高さから落とし、約50ジュール相当の衝撃をプロテクターに加えたときに、体側にどれだけの衝撃力が伝わるかを測定します。
- CE1(レベル1):体に伝わる平均衝撃力が18kN以下。薄手・軽量なものが多く、装着時の違和感が少ないのが特徴。日常使いや長距離ツーリング向け
- CE2(レベル2):体に伝わる平均衝撃力が9kN以下。CE1のさらに半分の衝撃力に抑える基準で、保護性能はより高い。その分、厚みや重量は増える傾向にある
数字だけ見るとCE2の方が明らかに優秀ですが、その分ゴツくなるので、着け心地とのトレードオフになります。最近は多くのメーカーがCE2ラインナップを拡充しているので、プロテクター単体を買い足すときは、CE1かCE2かも合わせてチェックしておくといいと思います。
購入前・購入後にチェックしておきたいこと
- 購入前:商品ページやタグの「プロテクター標準装備」の文字だけで判断せず、具体的にどの部位が対象なのかを確認する
- 購入後:ポケットはあるのにプロテクター本体が入っていない、という状態のまま着ていないか、一度全部のポケットを開けて確認する
- 胸部・腰部:標準装備から外れがちな部位なので、後付けの必要があるかどうかを特に意識する
特に「ポケットはあるのに中身が入っていない」状態は、見た目だけでは分からないので、一度気にして確認しておく価値があります。
プロテクターにも限界はある
ここまで「どこが標準装備か」という話をしてきましたが、大事な前提を書いておきます。
プロテクターは、衝撃を分散したり摩擦による擦過傷を減らしたりするための装備であって、あらゆるケガをゼロにしてくれる無敵の防具ではありません。
実際、自分が事故で「守られた部位」と「守られなかった部位」で結果がどう分かれたか、装備で防げる怪我と防げない怪我の違いについては、別記事「肩肘背中は無傷だった|バイク事故で分かったプロテクターの効果」で詳しく書いています。
プロテクターを過信せず、あくまでリスクを減らす装備として捉えておくのが正しい距離感だと思います。
まとめ:プロテクターの標準装備は、必ず自分の目で確認しよう
今回の記事で一番伝えたかったのは、「プロテクター付き」という表記だけを信用してはいけない、ということです。
バイクジャケットの標準プロテクターはメーカーによって範囲が大きく違い、コミネのように胸・背中・肘・肩・膝まで手厚く標準装備しているブランドもあれば、肩・肘・背中と膝だけが標準で胸部は別売りというメーカーも多く存在します。
中には収納ポケットだけ用意されていて、プロテクター本体は自分で買って入れる前提のジャケットもあります。
さらに、同じ「プロテクター入り」でも、CE1とCE2では体に伝わる衝撃力が倍近く違うため、性能面での差も見逃せません。
パンツについても、膝は標準でも腰は製品次第、ソフトプロテクターのような頼りない装備で済まされているケースもあります。
自分自身、プロテクターが入っていた部位と入っていなかった部位とで、事故のときの結果がはっきり分かれた経験があるからこそ、この確認作業の大切さを伝えたいと思っています。
そして、プロテクターを揃えたからといって「もう安心」ではありません。
守れる衝撃の範囲を理解した上で、速度やすり抜けの判断そのものを慎重にすることが、結局は一番の安全対策だと思います。
ジャケットやパンツを選ぶときは、必ずどこが標準装備で、どこを買い足す必要があるのか、自分の目で確認してください。
関連記事
さらに深掘り
- 既存ジャケットが最強装備に変わる|D3Oプロテクター完全ガイド【寿命・入れ替え方まで】
「ソフトプロテクターで大丈夫かな」って少しでも思った奴は、疑ってるその感覚が正しい。中身のグレードアップ、ここで全部解説してる。 - 失敗しないバイクヘルメットの選び方|種類・サイズ・安全規格を徹底解説
体は守れても頭がノーガードじゃ意味がない。プロテクター選びと同じ感覚で、規格の数字までちゃんと見てほしい。
あわせて検討すべき視点
- 【実体験】バイク通勤で2回事故った僕が、今だから言える「本当の怖さ」と「後悔」の話
この記事のそもそもの原点。プロテクターの有無で結果がどう変わったか、生々しい実例が知りたければこっち。 - ヘルメットのサイズが合わない時のサイン7選|「なんか違う」を放置すると起きること
プロテクターもヘルメットも、サイズが合ってなきゃただの重り。「なんとなく着けてる」が一番危ないのは全部共通してる。
【重要】出発前に見ておくべきリスク管理
- バイクに三角表示板は必要?停止表示灯で代用できる条件を法律で解説|パープルセーバー徹底解説
プロテクターは「転んだ後」の話。こっちは転んだ瞬間の二次被害を防ぐ話。装備を固めたら、次はここまで詰めておけ。