OGK KABUTO SHUMAを5年使用レビュー|ウルトラクーリングの実力と本音

2021年8月。SHUMAが発売されてわずか2ヶ月後、僕はFLAMEカラー(XLサイズ・27,490円)を購入した。

当時、僕がメインで被っていたのはOGK KABUTOのKAMUI(インナーシェード搭載モデル)とRT-33。インナーシェードは便利だったが、とにかく重い。そして夏場は地獄のように暑い。汗だくになりながらバイクに乗るのが本気で嫌になっていた。かといってシールドを開けて走れば、今度は虫が飛び込んでくるし目も痛くなる。「なんで汗かきながらバイクに乗らなアカンねん」と本気で思っていた頃、SHUMAの「ウルトラクーリングシステム」という謳い文句を見つけた。

正直に言うと、この記事を書くまで5年近く放置していた。RT-33の記事X-Fifteenの記事で「乗り換え候補」として名前を出すたびに、内心「いや、お前(SHUMA)の記事がまだないだろ」と自分にツッコミを入れていた。というわけで今さらだが、5年選手になったSHUMAの本音レビューをまとめておく。

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失敗しないバイクヘルメットの選び方|種類・サイズ・安全規格を徹底解説

Dリングの煩わしさから解放してくれたバックル

白状すると、購入当初の僕はDリング式のあご紐が正直「だるい」と思っていた人間だ。ワンタッチで着脱できるバックル式に慣れていると、Dリングに紐を通して調整する作業が面倒に感じたのを覚えている。

今は逆に「Dリングの方がいい」と思うようになったのだから、人の感覚というのは変わるものだ。ただ、当時の自分がSHUMAを選んだ理由のひとつは、この面倒くささを解消してくれる機構にあった。

マイクロラチェットバックルという選択

SHUMAが採用しているのは、ワンタッチで脱着でき、なおかつ微調整も可能なマイクロラチェットバックル。複数の歯が噛み合う構造になっていて、確実な作動と安全性を両立している。

5年間使ってきて、このバックルが緩んだり噛み合いが甘くなったりした経験は一度もない。当時「Dリングがだるい」と感じていた自分にとっては、間違いなく正解の選択だった。

購入の決め手は「ウルトラクーリングシステム」だった

Dリングうんぬんよりも、購入の一番の理由はこれだ。SHUMAの目玉機能である「ウルトラクーリングシステム」。

公式の謳い文句はこうだ。走行した瞬間から風を感じることができる新設計のクーリングシステム。ベンチレーションホールは風洞実験やCFD解析によって、走行時のヘルメット角度に最適な向きになるよう配置されている。低速域から風を感じられるインパクトのある涼しさを実現し、走行開始から30秒ほどの速さで涼しさを体感できることを風洞実験で実証しているという。

チンベンチレーションはエア導入を二手に分ける新設計で、上方向へはシールドの曇りを軽減し、正面方向へは口元へダイレクトにエアを取り入れる仕組みになっている。ちなみにリアベンチレーションには開閉機能がない仕様だ。

他にも公式スペックとしては、内装まわりの作り込みが地味に効いている。頭部とヘルメット内側の空間をデータ化して厚み分布を最適化した「HEXA-PAD」は、縫い目が少ないシームレスな構造で風の通り抜けを感じやすい。インナーパッドの一部にはDEOFACTOR®による制菌加工も採用されている。

シールドは帝人株式会社の熱線遮蔽素材を使った「UV&IRカットシールド」で、紫外線・赤外線をカットして日射による温度上昇そのものを抑える設計。曇り対策としては「ブレスガードNo.9」がシールド裏面への吹き出し面積を拡大しており、あご付近の風の巻き込みを軽減する「ウィンドシャッターNo.7」は季節に応じて脱着できる。空力面では帽体付近の気流をコントロールする「ウェイクスタビライザー」というOGK独自デバイスも搭載されている。この謳い文句を見て「これなら猛暑でもバイクに乗れる」と思って買ったのが2021年の夏だった。

発売時期
2021年6月
購入時期
2021年8月
カラー
FLAME
サイズ
XL
購入価格
27,490円
あご紐
マイクロラチェットバックル
内装
HEXA-PAD(一部制菌加工)
シールド
UV&IRカットシールド(帝人・熱線遮蔽)/Pinlock対応
特徴機能
ウルトラクーリングシステム/ウェイクスタビライザー

実際に検討している人は、現在の価格・在庫を先に確認しておくといいと思う。※僕が購入したFLAMEカラーはすでに販売終了のため、現行で購入可能なPLUMEカラーのリンクを掲載している。

5年使ってわかった「実際の涼しさ」

実際どうなのか。結論から言うと、下道ではぶっちゃけそこまで体感できない。ウルトラクーリングシステムが本領を発揮するのは、速度が乗ってきてからだ。

高速道路で100km/hを超えたあたりから、はっきりと「風が入ってきている」のがわかる。夏場だとその風自体はかなり熱い。それでも汗はかかない、というのが正直な体感だ。汗でベタつく不快感がないのは、このヘルメットを選んでよかったと思える瞬間だった。

ただし、風が入ってくるということは、それだけ風切り音も大きくなるということでもある。高速域では風切り音がかなりのレベルでうるさく、インカムで音楽を流していると音楽しか聞こえないレベルになる。涼しさとのトレードオフだと割り切っている。

この夏でもツーリングに出られているのは、間違いなくこのクーリングシステムのおかげだ。買ってよかった、と今でも思える理由はここに尽きる。

使用シーン別評価

通勤(片道25km・約1時間)

まず正直に訂正しておきたいのだが、僕の通勤ルートは高速道路を使わない下道オンリーだ。

片道25km・約1時間、この距離を5年間ほぼ毎日この頭で走ってきた。

で、正直に言うと、下道オンリーの通勤でウルトラクーリングシステムの恩恵をはっきり感じられているかと言われると、あんまりわからないというのが本音だ。前述の通り、この涼しさが本領を発揮するのは高速域なので、下道メインの通勤ではその効果を体感しにくい。

それでも通勤で5年使い続けているのは、涼しさ云々より前に、価格・耐久性・被り心地に不満がまったくないからだ。毎日使う道具として、変な劣化もなく安定して使えるという安心感の方が、通勤用途では効いているのだと思う。

ツーリング

ウルトラクーリングシステムの涼しさをしっかり実感できるのは、むしろツーリングの方だ。

高速道路をある程度の距離走るツーリングでは、100km/hを超えたあたりからはっきりと風が入ってくるのがわかる。逆に峠道や下道メインのツーリングだと、通勤と同じく過度な期待はしない方がいい。

サーキット

サーキットでの使用実績はない。サーキット走行時はSHOEI X-Fifteenの担当になっているので、SHUMAをサーキットで使った場合の静粛性や空力の評価はできない点は正直に書いておく。

なぜOGKを選んだのか

OGKカブトを選ぶ理由は、正直シンプルだ。価格が安い。それに尽きる。

日本の3大ヘルメットメーカーに入るくらいしっかりした作りで、被った瞬間にしっくりくる完成度を持っているのに、なぜか値段が安い。同じ土俵の他社モデルと比べても、この価格設定はおかしいと思っている。

SHUMAもその例に漏れず、27,490円でこの内容ならコスパは十分すぎるレベルだ。

5年経った今、経年劣化はあるのか

正直に言うと、目立った劣化は特にない。

チークパッドの締め付け感が緩くなってくるのは事実だが、これは毎日被るヘルメットなら半年ほどで普通に起きる消耗品の話であって、SHUMA固有の弱点ではない。筐体自体の日焼けや変色といった劣化も見当たらない。マイクロラチェットバックルのガタつきもなし。

5年間、シールドの開閉不良も内装のヘタりによる大きなフィット感の変化も感じていない。以前レビューしたWINS A-FORCE RRのように、サイズが合わず内装で調整したり被っていて違和感がある、といったこともSHUMAでは一度も経験していない。ヘルメット専業メーカーだけあって、フィッティングの基本設計がそもそもしっかりしているのだと思う。

よくある質問

実際に被ってみて「重い」と感じますか?
特に「重すぎる」という不満はない。普通にヘルメットを被っている、という感覚しかなく、以前使っていたKAMUI(インナーシェード搭載モデル)のような「重さがしんどい」という感覚はSHUMAにはない。
インカムはスムーズに取り付けられますか?
公式スペックとしてインカムやカメラ取付を考慮した専用スペースが左右に用意されており、ケーブルルートも確保されている。実際、取付で困った記憶はない。
シールドはピンロック標準装備ですか?曇りやすさは?
Pinlock® Original Insert Lens(別売)に対応したシールドだが、正直に言うと自分はピンロックシートを使ったことがない。そのため曇り対策としての体感は語れないが、公式スペックとしてはシールド裏面への吹き出し面積を拡大した「ブレスガードNo.9」が曇り軽減に貢献する設計になっている。ここは今後ピンロックを試したら追記したい。

RT-33との比較でしか語れない理由

SHUMAをX-Fifteenと比較するのは正直フェアじゃない。価格帯もコンセプトもまるで違うからだ。比較できるとしたらRT-33、それも同じOGKカブトというブランドの中での話になる。

RT-33の記事で書いた通り、RT-33は「経年劣化に弱い」「夏場の快適性には期待できない」という弱点を正直に指摘した。SHUMAはその両方をきっちり克服してきている。ウルトラクーリングシステムによる涼しさと、5年使っても劣化しない耐久性。RT-33のあの完成度が懐かしくなる人にこそ、SHUMAは選択肢になり得ると思う。

逆に風切り音がうるさい点はRT-33譲りというか、OGKカブト全体の傾向なのかもしれない。ここは正直、今後も改善されてほしいポイントだ。

迷っている人向けに現在の価格と在庫をもう一度貼っておく。

購入者向けチェックリスト

こんな人におすすめ

コスパ重視でヘルメットを選びたい人
少しでも涼しさが欲しい、汗かきが嫌な人(※それでも夏は暑いのは前提)
インナーシェード付きヘルメットの重さ・暑さに疲れた人
通勤・ツーリングがメインで、高速道路をある程度の距離走る人

向いていない人

静粛性を最優先したい人(風切り音はかなり大きい)
軽さを何より重視したい人
サーキット走行での性能を求めている人

良かった点マイクロラチェットバックルは5年間トラブルゼロ
高速域でのウルトラクーリングシステムの涼しさは本物
5年使っても劣化らしい劣化がほぼない
OGKブランドらしい価格以上の作り込み
インカム専用スペースで取付がスムーズ
気になった点風が入る分、高速域の風切り音はかなり大きい
下道レベルでは涼しさをほぼ体感できない
夏場は熱風なので「涼しい風」というより「乾いた風」に近い
総合評価
4.0

今も現役で使い続けている、というのがこのヘルメットに対する一番の評価だと思っている。

まとめ:SHUMAは「安かろう」ではなく「わかってて安い」ヘルメットだった

2021年8月、発売されたばかりのOGK KABUTO SHUMAを27,490円で購入し、5年経った今も現役で僕の頭を守り続けている。当時使っていたKAMUI(インナーシェード搭載モデル)の重さと夏の暑さに耐えかね、シールドを開ければ虫や目の痛みに悩まされていた僕にとって、「ウルトラクーリングシステム」という謳い文句は藁にもすがる思いで飛びついた機能だった。

実際に使ってみると、下道での涼しさは正直そこまで体感できないというのが本音だ。片道25km・約1時間、下道オンリーの通勤ではウルトラクーリングシステムの恩恵をはっきり感じられているとは言い難い。一方でツーリングなどで高速道路を走ると、100km/hを超えたあたりからはっきりと風を感じられる。夏場でも汗をかかずに済むのは、このヘルメットを選んでよかったと思える最大の理由だ。その代償として風切り音はかなり大きく、インカムで音楽を聞いていても風の音にかき消されるレベルになるのは正直なデメリットとして書いておく。

そして何より驚いたのは、5年経ってもほぼ劣化を感じないことだ。チークパッドの締め付け感が抜けるのは消耗品として当然の範囲であり、筐体自体の日焼けやバックルのガタつきといった劣化は見当たらない。WINS A-FORCE RRのようにサイズやフィッティングで苦労した経験もなく、ヘルメット専業メーカーとしての基本設計の堅実さを感じさせられた。OGKカブトを選ぶ理由は「日本3大メーカー級の作り込みなのに、なぜか価格が安い」という一点に尽きるが、SHUMAはまさにそれを体現したモデルだったと言える。

RT-33で感じていた「経年劣化に弱い」「夏場がつらい」という弱点を、SHUMAはきっちり克服してきている。静粛性や軽さを最優先する人には向かないが、コスパ重視で少しでも涼しさが欲しい人、通勤やツーリングで距離を走る人にとっては、間違いなく現行モデルの中でも有力な選択肢になるはずだ。

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